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ニコス過払い金の判決

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宮崎簡易裁判所令和2年12月22日判決

 

三菱UFJニコスの空白期間と過払金計算

三菱UFJニコスの同一カードで空白期間がある場合の一連計算が採用された裁判例です。

宮崎簡易裁判所令和2年12月22日判決です。

空白期間は約1年9ヶ月。三菱UFJニコスが分断、過去取引の時効を主張。

裁判所は、この主張を否定し、一連計算によって過払い金の請求を認めたという内容。

この記事は、

  • 三菱UFJニコスに対する過払い金請求を検討している
  • クレジットカードのキャッシングで空白期間がある

という人に役立つ内容です。

(著者:弁護士石井琢磨 更新日2021.5.19)

 

事案の概要

原告が借主。被告が三菱UFJニコス株式会社という過払金請求事件です。

同一カードの契約で、利用していない時期があり、取引の分断を主張された事例です。

本件取引はカードを作成した際の本件基本契約によりなされていました。

第1取引は、平成13年8月23日15万円借入で開始されて平成17年12月28日26万0187円支払により完済終了。

第2取引は、その約1年9か月足らず後の平成19年9月26日2万円借入で開始され平成24年10月29日1万0157円返済により取引終了。

いずれも、NICOS郵便貯金ジョイントカードを利用して借入。被告が選択する支払方法(1回払い、リボルビング払い、短期キャッシング)での原告郵便貯金口座からの引落し返済により、原被告間で借入とその返済が繰り返される形で継続した金銭消費貸借取引が行われていました。

 

第1取引と第2取引との間に約1年9か月の分断。第1取引の過払金を第2取引の借入金に充当できるかが争点になりました。

第1取引の最終弁済では、一括繰上返済したという取引内容でした。また、第2取引の約定利率は年18%と利息制限法の範囲内の利率に設定されていました。

 

契約書の作成などはない

第1取引及び第2取引は、その約定利率が異なるが、第2取引開始にあたり、三菱UFJニコスが原告に対し、新たな約定利率変更に伴う金銭消費貸借契約書を交付したことを認めるに足りる証拠はないと指摘。

営業的金銭消費貸借を業とする被告は、第2取引について三菱UFJニコスが開示した計算書に記載された年率18%での利息計算を主張するだけで、第2取引に係る契約内容について何ら主張立証していないと言及。

 

取引条件

第1取引及び第2取引は同一の契約番号による取引であり、第1取引は毎月27日口座引落し・リボルビング払いの取引で、第2取引はリボルビング払い及び短期キャッシングの併用取引であると認定。

第1取引では利息制限法所定の制限利率を超過する利息の約定(実質年率26.28%)で、第2取引では利息年率18%の約定により、各取引を行っていました。

本件基本契約にあるカード会員規約によると、カード会員は、本件カードを利用したカードショッピング及びカードキャッシングができ、本件カードの年会費を支払い有効期限が更新された本件カードの交付を受けていたと認定。

原告は、第2取引において平成19年9月26日本件カードによる借入をしました。

借主の意思も過払い金を請求するもの

約1年9か月足らずの取引空白期間が認められるものの、その間には、本件基本契約に基づいて本件カードが更新発行・交付されており、

原告は本件カードにより第2取引の当初借入れをして取引を再開していること、

本件基本契約により開始された第1取引は原告の多額(26万0187円)の一括繰上げ返済により完済終了したが、その後も原告は継続して本件カード会員であったことから、原告は、第2取引開始時において、第1取引と同様に継続的な金銭消費貸借取引を続けて行うとの認識を有していたと認められるとしています。

 

三菱UFJニコスの過払金の認識

三菱UFJニコスは、自ら利息制限法所定の制限利率を超過する利息の約定をして第1取引を行っており、利息制限法所定の制限利率で引き直し計算をすれば、第1取引では、一定の時期以後に過払金が生じるであろうことは十分認識していたものと認定。そして、第1取引は強行法規である利息制限法に違反する取引と認められ、その効果として、本件基本契約による本件取引には、発生した過払金について過払金充当合意があると解するのが相当としました。

 

過払い金の消滅時効は否定

そうすると、本件取引は、本件基本契約である本件カードのクレジットカード契約による第1取引及び第2取引からなる、過払金充当合意を含む継続した一連一体のものとして一連計算するのが相当であるとしました。

そして、第1取引により平成17年12月28日までに発生した過払金は、第2取引の平成19年9月26日の新たな借入金債務に充当することになると計算。

これに反する三菱UFJニコスの主張は採用できず、第1取引に係る過払金返還請求権についての消滅時効は完成していないとしました。

 

過払い利息も認定

貸金業者である三菱UFJニコスは、第1取引では、一定の時期以後に過払金が生じるであろうことは十分認識していたものであるとしています。

貸金業者が利息制限法所定の利息の制限額を超える利息を受領したが、その受領につき廃止前の貸金業法43条1項所定の「みなし弁済」の適用が認められない場合には、当該貸金業者は、「みなし弁済」の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、民法704条の「悪意の受益者」であると推定。

三菱UFJニコスは、第1取引を含む本件取引における「みなし弁済」の適用について個別具体的な立証をしないものであるから、特段の事情があると認めることはできないとして、過払金について悪意の受益者を認定、過払金に対する改正前の民法所定の年5分の割合による利息を支払う義務を負うと結論づけました。

 

同一のクレジットカードでキャッシング利用に空白期間があると、このような主張をされがちですが、基本契約は同一であると考えられ、その期間にカード更新もあったのですから、一連計算が当然に採用されるべきといえるでしょう。

 

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