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消滅時効に対する主張・相殺

消滅時効の主張

過払い金の裁判では、貸金業者側から、「過払い金は消滅時効にかかっているから、請求できない」という主張がされることがあります。

過払い金を返せ、という権利が、不当利得返還請求権だとすると、民法167条1項に「債権は、十年間行使しないときは、消滅する。 」と書いてありますので、10年間で時効にかかるという主張がされるわけです。

具体的な場面としては

取引分断

基本契約などが2つに分断されるとの主張がされ、最初の基本契約の完済により過払い金が発生しているが、分断されるため、2つ目の基本契約には充当されない、1つ目の基本契約が終了してから10年経過しているため、時効である、という主張がされることがあります。

相殺の主張

このような取引分断・消滅時効の主張に対して、相殺の主張をすることが考えられます。過払い金とその後の借金を相殺してしまうという内容です。

相殺イメージ

民法508条には、「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。 」と書かれています。

過払い金を返せという権利が発生して10年経っていたとしても、相殺をする借金を負った場合には「相殺に適するようになっていた」といえますので、空白期間が10年なければ、相殺の主張ができそうです。

ただし、この主張に対しては、貸金業者側から、2つ目の基本契約当初に発生した借金は、その後に返済が続けられていて、もうなくなっているから相殺できないという主張がされることがあります。

たしかに、債務がなくなった後には、その債務を他の債権で相殺することはできないという裁判所の考え方もあります。これを認めると、法的安定性が欠けてしまうなどの問題があるからです。

これに対しては、法的安定性を欠く原因を作り出しているのは、相殺を主張される貸金業者なのであり、自ら法律関係が不安定になる原因を作り出している貸金業者の法的安定性を保護する必要はない、などと主張していくことも考えられます。

最判平成19年2月13日は、基本契約が存在しない事案においても、「第1貸付け過払金の返還請求権と第2の貸付けに係る債権とを相殺する可能性がある」と相殺による借主救済の余地を認めていることも参考になるでしょう。



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