アイフル事業終了通知と過払い金の時効に関する裁判例

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貸付停止と過払金の判決

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宮崎簡易裁判所令和4年7月22日判決

 

アイフル過払い金と事業終了

アイフルに過払い金請求をしたところ、そのカードの事業は終了したと通知したので、貸付停止措置として過払い金の消滅時効はスタートする、そこから10年が経ったので、過払い金は請求できないと反論された事件です。

貸付が止まってから10年が過ぎている過払い金請求を考えている人は参考にしてみてください。

 

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.4.7

 

過払い金のルール

過払い金の返還請求ができなくなるルールがあります。

過払い金とは、利子が法律で決められたルールより高すぎて払いすぎたお金のことです。

返還請求は、その利子を払った返すようおこなうものです。

この権利は、「過払い金返還請求権」と呼ばれます。

 

過払い金と消滅時効

過払い金返還請求ができなくなるルールについて、消滅時効があります。

過払い金は取引が終了してから10年がすぎると消滅時効になり、請求が認められなくなるリスクが高いです。

この取引が終了とは何を示すのか争われるケースも多いです。完済して契約を解約して10年が過ぎた場合には、消滅時効で過払い金が請求できないと判断される可能性が極めて高いです。

これに対して、契約を解約しておらず、同じカードを使って再び借金をしたケースや、違うカードを契約したものの同じ会社で借金をしたケースなどが問題になります。

消費者金融などは、少しでも早く消滅時効の期間が始まった方が、過払い金を返さなくて良くなるので有利です。そのため、いろいろな理屈を主張してきます。

取引があっても、新しく貸付をしなくなった(貸付停止措置)から、そこから消滅時効期間が始まるという主張もあります。一部の裁判例では、これを認めてしまって過払い金を否定していることもあります。

 

事業終了通知と過払い金の時効が争点

今回の判例は、事業終了通知で消滅時効期間が開始するかという点が問題になっています。

プレイカード事業の終了を借主に通知。これにより消滅時効期間が始まると貸金業者は主張。

裁判所はこれを否定。過払金請求権の消滅時効は進行しないとの結論をとった事案です。

宮崎簡易裁判所令和4年7月22日判決です。

被告は、アイフル株式会社。ライフの取引が問題になった事案です。

 

事業終了通知によるアイフルの主張

旧ライフは、プレイカード事業を終了。報道機関等にも発表したり、ホームページに掲載したりしていました。

さらに、借主には事業を終了する旨を文書で通知したというものでした。

新しい貸付は停止されたということで、そのタイミングで消滅時効期間が開始するのかが問題とされた事案です。

裁判所は、貸付停止措置がされても、返済を継続しているので取引は終了していない、消滅時効は進行しないと結論づけました。

当然の判断だと感じるのですが、貸付停止措置で時効進行を認める裁判例もあることから、注意すべき論点です。

 

併存取引への過払い金の充当

まず、2つの取引が併存している場合に、第2取引の過払金を、その時点で存在する第1取引の借入金債務に充当できるかが問題になりました。

いわゆる横飛ばし計算。裁判所はこれを認めています。

同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借契約において、借主がそのうちの一つの借入金債務につき法所定の制限を超える利息を任意に支払い、この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合、この過払金は、当事者間に充当に関する特約が存在するなど、特段の事情がない限り、弁済当時存在する他の借入金債務に充当されると解するのが相当である(最高裁平成15年7月18日第二小法廷判決等)。

そして、この理は、借主が、同一の貸主に対し、法所定の制限を超える利息を支払う旨の約定を含む基本契約に基づき、継続的に借入れとその返済を繰り返す金銭消費貸借取引において、数個の債務を負担する場合であれば、当該数個の債務が別個の基本契約から生じたものであったとしても、同様に妥当するものと解すべきである。

なぜなら、一般に、債務者が同一の債権者に対し、数個の債務を負担する場合に、その1個が完済されたときは、それ以降の弁済は、これを行う債務者としても、受領する債権者としても、その当時存在する他の債務に充当されるものであり、過払金として不当利得返還請求の対象となるものではないと考えるのが通常であり、とりわけ、当該数個の債務が法所定の制限を超える利息を支払う旨の約定を含む金銭消費貸借取引に基づくものである場合には、借主は、借入総額の減少を望み、複数の権利関係が発生するような事態が生じることは望まない。

すなわち、一方で、過払金に対する年5分の割合による利息の請求権を取得するが、他方で、過払金と同額の債務に対する、より高率の割合による利息の支払義務が存続するという事態が生じることは望まないのが通常と考えられる。

そして、数個の債務が上記のような内容の同種の取引により生じたものである以上、これらの基本契約が同一であるか否かによって上記の事情が異なるものではないと考えられると結論付けています。

 

平成15年の最高裁判決からは論理的に導かれる結論だと思うのですが、否定する裁判例もあります。理由からすれば、全体債務をへらす方が良いはずなので、妥当な判断だといえるでしょう。

 

 

第1取引の消滅時効の起算点

問題となった過去の取引の消滅時効がいつから開始するかという争点に対する判断です。

継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が、借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生したときには、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含む場合は、上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は、過払金充当合意と異なる合意が存在するなど特段の事情のない限り、上記取引が終了した時点から進行する(最高裁平成21年1月22日第一小法廷判決参照)、と前提の確認。

本件についてこれをみるに、第1取引に係る基本契約は、過払金充当合意を含む取引であることに争いはないものと解されると指摘。

そして、原告は、平成23年3月24日以降も返済を繰り返しており、第1取引が終了したのは、平成26年1月28日。以上によれば、第1取引の消滅時効は、平成26年1月28日から進行すると解するのが相当であると結論付けています。

事業の終了など関係なく、返済を繰り返しているのだから、取引は終了していないとの判断です。あまり深入りせずに形式論で消費者金融音主張を否定している印象です。

 

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